ここのところ三茶では「ネオ大衆酒場」が旋風を巻き起こしてます。中でも「酒羅場」は、このご時世にオープンと同時に予約のお客さんでほぼ満席。
オープンしたばかりのお店になんでこんな人気が集まるんだろ?ふと感じた疑問に「なぜ」と問いを立ててみて、お店の紹介と合わせて感じた事を書いてみようと思います。
ネオ大衆酒場って?
大衆居酒屋だけど、どこかカフェのようなオシャレさを漂わせてくる。料理は昭和だけど、空間は昭和ではない。お店には今時の若者が多く、空間をさらにモダンなカフェっぽく彩ってる。(逆におじ様たちは入りつらいんじゃないかと思う程)
空間だけでなく、選んでる食器も決して「あかちょうちん」の大衆酒場とは何処か違う。なんなく今と昔の良さをシンプルにハイブリットされたカフェなじみの佇まい。
そりゃ若者が好んで時間を過ごす訳だと思っていたら、料理一品の盛り付けも創作性に富んでいる。サワーグラスも試供品などを使わず、かわいいイラストが描かれていたりする。そんな工夫が多いのも特徴の一つ。
ざっくりいうと、それがネオ大衆酒場。
先駆けて奥三茶には「コマル」「マルコ」というネオ感高いお店はありましたが、三茶といえばレガシーな大衆居酒屋、がこの街の特徴なので、それが転じて「ついにネオ大衆酒場の風が三茶にも吹いてきた!」という気にさせられるのです。
そんな感じで、目立ちやすい三茶にここ最近たて続きに増えたネオ大衆酒場は、本当にどこも人気。まり花、食堂かど。、ガマダスに世田谷公園付近にできたかすがいなど何時に行っても混んでいます。そして今日お伝えする酒羅場は特にネオ感が高い。
一つ上のネオ大衆酒場「酒羅場」
路面店じゃないのに、どうやってこの地下空間がオシャレって知るんでしょう。ってくらいの人気店です。さすが三茶に住む人のアンテナはさびないなあ。
オープン時間に予約して訪れたこの日、階段を下りてくる人はほとんど「予約済」の方。予約せず来た人は、残り2席ほど余っていたカウンターへ。
オープンと同時にほぼ予約で埋まってる!
初めて訪れたからその衝撃はとっても高かったです。
でも満席になる理由もわかります。並んだテーブルや打ちっぱなしの壁はとてもシンプルでそこにいる自分をかっこつけさせてくれます
それって大事です
どこに行っても美味しいもの食べられる今、お店にクセがないことが居心地の良さを高めてくれて、飲む前にスッとお店になじめる。それって無意識にお店を受けれることが出来る「価値観のマッチング」が出来てるということですよね。
飲む前から、気持ちいい
食器や箸に目を向けても心意気が行き届いてます。今日はここに没入してもいいんだ、ちゃんと楽しめそう。という気持ちになれますよね。
高いお金を払わなくても「いいとこに来た」って気になれるよね
価値感があう!と思わせるってとってもむずいはずです。料理提供する前から提供価値を感じさせるって押し付けてもできることじゃないし、だから人が集まるんだろうなと思いました。
では続いて、いくつかお料理も紹介していきましょうー!
クリエイティブな工夫が連続する品々
見た目は可愛く、箸をいれるとゆで卵のしずるがたまらない。それがポテサラに乗ってるのだから、どこから攻めてもおいしいに決まってる
パクチー好きは山盛りパクチーが焼鳥に乗ってるだけで食欲も山盛です。野菜も摂れますし。最高です。
海苔の上にはささみがのっていて、その上にかかってるとろろ。新しいタイプの焼鳥。こういう遊び心が過ごす時間を幸せにしてくれますよね
こういうところがネオ大衆酒場
全員が「これスキ」言った一品。海苔にまかれたのは納豆とささみ。ささみは少しレアで。それを寿司の様につかんで食べる贅沢。ここにもネオ大衆酒場と言われる所以があるなと思いました
もうコメでなくて納豆でよくね?
glassもひと手間かけて楽しませてくれてるのがネオ大衆酒場の特徴。
一番右は名前が「きんぎょ」。上に浮いてる赤い物体と、下の緑で想像できますね。赤はトウガラシ、緑はシソ。中身は辛口ドライな焼酎炭酸割。シンプルに大人な飲み物です
どうせお金を落とすなら「自分の時間をここに消費したい」と思わせるような場所
それまで当たり前のようにしていた消費が「三密」「不要不急」でボディブローのように消費を委縮させ、行動が制限された生活者は「自分の応援したいお店に時間とお金を落とそう」という、かつてとは違う判断軸を持ったと思います。
今も深刻なダメージを受ける飲食店にとって、かつての行動が戻らない中で「それでもあそこに行きたい」と思わせるにはこれまでと同じような「食べて飲んで騒げる場所」ではなく「自分の時間をどこに払うかという判断基準が、行動を作る」ことが今最も注視すべき価値観になります
時間を過ごしたくなる価値こそ、ネオ大衆居酒屋の一興
ネオ大衆酒場には、「ネオ」とつくようにもちろん新しさもあるかもしれません。情報鮮度が高いだけなのかもしれません。時代の転換期も訪れるとは思います。何事もいずれ盛者必衰。まだ今はこれが答えなのかはわかりません。
でも、ただ安いからと選んでいた一回も、これからは「それよりもっと意味のある場所に行こう」という一回に代わるなら「ここは自分にとって必要なお店だ」「ここは自分の時間を豊かにしてくれる」と、より感じさせることが今の時代の人々に馴染んでゆく当たり前の価値感なのではないでしょうか?
そこにはAIもテクノロジーもない、客寄せのためのメガ盛りコンテンツもない。そんなメディアに受ける要素はここにはない。
ただ押しつけがましくなく漂う空間がいつの間にか自分を没入させ、偶然に出会うヒトサラに「ここは自分に合いそうだ」と一人のお客さんを小晴れにする連続性がある。
きっとその価値を共感してもらいたくて、誰かがまた新しい顧客を連れてくるに違いありません。ネオ大衆酒場には「空間に漂流してるささいな幸せ」を掴みたくて人が今日もフラっと入ってくるのだと思います。
ということで次行く時は誰を誘ってみようかな。
※この記事はnoteの記事を編集して掲載しています。